「肺カルチノイド」という病名をご存知でしょうか?
先日、フジテレビ系のバラエティー「ホンマでっか!?TV」などで ご活躍されていた流通評論家、金子哲雄さんが、 この病でお亡くなりになられた、との報道がありました。
金子さんはまだ41歳だったとか… まだお若く、これからの方でしたのに… ご冥福をお祈り致します。
お恥ずかしい限りですが当方、この病名を このニュースではじめて知り、どんな病気だったのだろう?と、 各種文献で調べてみることにしました。
まず、医学書院から発行されている「医学大辞典」より、 以下の関連事項を抜粋させて頂きました。
■カルチノイド ■カルチノイド症候群 ■カルチノイド潮紅
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■カルチノイド(カルチノイド腫瘍) 医学大辞典 P423
形態学的に癌に類似するが、悪性度の低い一群の腫瘍。 消化管や気管支・肺に発生する。
浸潤性に発育し、時に肝転移をきたすが、遠隔転移はごく稀である。
ヒスタミンやセロトニンなどの種々の生理活性物質を産生し、 腫瘍が増大すると臨床的にカルチノイド症候群を呈する。
電子顕微鏡では細胞質内に神経分泌顆粒が観察される。
■カルチノイド症候群 医学大辞典 P423
カルチノイド腫瘍が産生・分泌するセロトニンや 5-ヒドロキシインドール酢酸(5-HIAA)、ブラジキニンなどの ホルモンまたはホルモン様物質による徴候および疾患。
顔面紅潮・下痢・喘息様発作・心膜内/心筋の繊維化による心弁膜症が特徴的症状。 カルチノイドは神経内胚葉系の腸クロム親和(EC)細胞由来の腫瘍である。
カルチノイド腫瘍の中では、肝またはリンパ節に広範に転移した 消化管カルチノイドに発症する事が多い。 気管支カルチノイドや卵巣カルチノイドでは、肝転移前に症状を発現する事がある。 発生頻度は10〜20%である。 治療には肝切除・ソマトスタチン誘導体療法・肝移植などがある。
■カルチノイド潮紅 医学大辞典 P423
カルチノイド症候群の主要兆候の一つで、顔から胸部にかけて発赤すること。 カリクレイン-キニン系の作用による。
範囲は、軽症では顔面のみであるが、重症では前胸部にも著名な発赤を認める。 局所での小さなカルチノイドでは無症状のものが大部分で、 大きな肝転移を認めて初めて、本症状が発現する。
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医学用語をなるべく使わず、自分なりに平易な表現に まとめてみますね。
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○カルチノイドとは? ・癌よりも悪性度が低い、癌に似た病原体です。 「癌に似てるけど弱い」 「癌とポリープの中間」といった表現が近いでしょうか。
・カルチノイドにかかると、カルチノイドが生み出す 様々な物質により、顔が赤くなったり、 下痢や喘息になったり、心臓の筋肉が繊維化してしまい、 心臓の働きが低下して血流が悪くなったり、 あるいは血液が逆流する症状(心弁膜症)が出るようです。
・また、カルチノイドが肝臓に転移・重症化すると、 顔から胸部にかけて発赤する「カルチノイド潮紅」が 現われる様です。
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カルチノイドを腫瘍の一種と考えると、免疫力を高め、 体内の異物であるカルチノイドを処理する力を高める事が、 重要だと感じております。
亡くなられた金子さんも、本業の経済評論活動にTV出演と、 多忙で体に負担の少なくない日々をお過ごしだったのでは ないでしょうか。。。
また、関係者さんのコメントや、生前の語り口などから、 人柄の良さも伺えます。 おそらく、心身ともに、多大なストレスに 襲われていたこと、想像に難くありません。 重ねてお悔やみ申し上げます。
今後も文献等を調べて、この病気に対して、 何が出来るか、考えて行きたいと思います。
参考: 医学書院 医学大辞典(2003年 初版発行) 医学書院 新臨床内科学(2002年 第8版発行)
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